スカイ・クロラ

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ

森博嗣著、中央公論新社


もうすぐ劇場公開!
押井守監督でProduction I.Gなんだから否が応でも期待は高まる!
んなわけで、その前に原作読んでおこうと思って手に取った。


函南優一というパイロットを主人公の語り部
主に草薙水素という女性司令官との関係性から
キルドレ」という永遠に生き続ける子供という設定を通して
その人間観、死生観を描いた物語と言えると思う。


このSFチックな設定から来る死生観!!
その哲学的な思想っぽさは押井守が好きそうなテーマ。
に加えてパイロット物ときた。
どんぴしゃ過ぎw
一方でまた見事な押井節変換されて煙に巻かれそうな映画になりそうだ!!
というわけであんまり映画に期待しないようにしておこう。
小説面白かった分、期待値上げすぎると碌な事無いだろうし・・・


とりあえず草薙水素で司令官ときたので
どうしても少佐グラフィックで脳内変換されて大変だった!



以下小説ネタバレ



Sky Crawlers
つまり空を這う者達である。


彼らはいつでも死ぬ覚悟を持っている。
だからこそ空を飛ぶ。
雇われて空を飛ぶ。
戦争をしてみせ、その恐ろしさを現実のものとし
あたかも平和の大切さを訴えているように、雇われて空を飛ぶのだ。


人が地を這うようにして生きるように彼らは空を這うようにして生きているのである。
彼らは老いもしなければ、病気もしない、唯一外傷のみによってしか死ぬことができない。
だから彼らの価値観は人のそれとは大きくずれてしまっている。
生きることは暇潰しでしかないのだ・・・
人を愛するとか子供を産むとかそういった人間らしい感覚からもずれてしまっている。
そんな人間として生まれたならば、自然といかにして死ぬかが問題になってくるようだ。
納得行く死の形。
それを見つけることが彼らにとって最も大切であるようだ。


普通の人間からすれば、自然と老い、病にもかかり、いつか必ず死ぬ。
だから死ぬまでに自分の確かな何かを残そうと必死になるとでも言いたいのだろう。
だから死が曖昧な彼らにとっては、生きることへの意味も曖昧になり、死の形に意味を求め始める。
だが・・・実際自分のような人間が日常死生観に刈られるようなことは滅多に無い。
それこそ60も過ぎて死がリアルに迫るものにでもならない限り。
漠然と生きている。
それは自分が若いからか?
だからこういう小説を読むことがきっかけになる。
自分の死生観に対して考えるきっかけになる。
きっかけがない限り考える事はない。
カンナミのようにただ漠然といつしか死ぬ、そんなところだろう。
ただ一度、真剣に考え出すと水素のようになってしまうのかもしれない。
そういう意味じゃ自分もキルドレと何ら変わらないのかもしれない・・・


わからないだろう
きっと誰にも、わからないだろう
そして
誰にも、わかってもらいたくない



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